References

TL;DR

1 つの論文は読み方を変えながら 3 回読む.

  • 1st pass: タイトルと概要,序論,見出し,結論を読んで,概要を把握する.
  • 2nd pass: 全体に目を通して論旨とその根拠を理解する.
  • 3rd pass: 論文と同じ仮定をおいて内容を再構築し,論文の内容と比較することで隠れた欠点や前提を見つける.

1st Pass

論文の概要を把握する.

以下の 5C を意識ながらタイトルと概要,序論を読み,見出しに目を通して,最後に結論を読む.

  • 種類 (category)
    • 標準的な研究論文
    • 既存手法を実験・分析する論文
    • リサーチプロトタイプに関する論文
  • 文脈 (context)
    • 関連研究の中でどのように位置づけられるか
    • どんな理論に基づいているか
  • 正確性 (correctness)
    • 仮定は妥当か
  • 貢献 (contribution)
    • どんな問題を解決したか
  • 明確性 (clarity)
    • 論理的に書かれているか

1st pass により,論文を概要を把握し,より詳しい内容まで理解すべきかを判断できるようになる.

論文の質が十分でない,興味がない等,読む価値がないと判断した場合は,ここで読むのをやめてしまってよい. 現時点で自身の研究分野と直接の関連はないが,将来関連する可能性のある論文は,ひとまず 1st pass 程度の理解で十分である.

自身の研究分野の論文については,次の 2nd pass 以上の理解が必要になる.

2nd Pass

論文の内容を理解する.

証明など詳細は飛ばして,論文全体に目を通す. 特に,グラフを注意深く見て,論文の仮説が統計的に示されているかを確認する. 重要なポイントをメモしたり,余白にコメントを書き込んだりするとよい.

2nd pass により,論文の主旨を根拠とともに要約できるようになる.

証明など詳細の理解が不要であれば,ここで読むのをやめてしまってよい. 前提知識が足りず,主張の根拠を理解できない場合は,関連研究を理解してから再度読み始める. 興味はあるものの自身の専門外の分野の論文については,この 2nd pass 程度の理解度が適切である.

3rd Pass

論文の内容を完全に理解する.

論文と同様の仮定をおき,自分なりに論文の内容を再構築する. すべての主張の前提を確認し,論文のアイデアを自分なりに表現してみる. 新たな研究のアイデアが思い浮かんだ場合は,それをメモしておく.

3rd pass により,論文の長所と短所を見極めることができ,さらに隠れた欠点や仮定を見つけることができる.

自分がその論文のレビュワーであったり,自分の研究分野の論文だったりする場合は,3rd pass 程度の理解が必要となる.

新しい分野のサーベイ方法

Google Scholar 等で適切なキーワードを検索し,その分野で最新の論文を 3–5 つピックアップする. 1st pass を通じてそれぞれの論文を概要を把握し,関連研究のセクションを読む. それぞれの論文が共通して引用している論文や同じ名前の著者による論文がいくつか見つかる. そのような論文は,その分野において重要な論文であり,必ず目を通しておく必要がある.

所感

5C のうち文脈と貢献に加えて,提案手法の概要をまとめてリスト化しておくと,後から振り返る際に便利である.