仕事に集中しながら効率的に資産を形成するために,お金の貯め方や使い方,そして資産運用の戦略を考えている. 今回は,貯蓄にフォーカスして設計したキャッシュフローを紹介する.

利用している銀行口座

まず,私が主に利用している銀行口座は以下のとおりである.

銀行 用途
三菱 UFJ 銀行 生活費の決済
住信 SBI ネット銀行 貯蓄資金の移動,投資資金のプール
あおぞら銀行 直近の支出に対する備え,生活防衛資金のプール
Union Bank 米ドルの保有,米国の証券口座への入金

三菱 UFJ 銀行

生活費の決済には三菱 UFJ 銀行を利用している. これは,メガバンクがあらゆるサービスの口座振替に対応しているためである. 例えば,東京都水道局では,水道料金の支払方法を口座振替にすると毎月 50 円の割引を受けることができるが,口座振替に対応している金融機関はメガバンクと一部の銀行に限られる1. また,メガバンクの ATM はあらゆる場所に設置されているため,必要なときに現金を引き出すことができて利便性が高い.

三菱 UFJ 銀行は,手数料の優遇の面で他のメガバンクよりも優れている. スーパー普通預金を利用すれば,Web 明細を利用するなどの簡単な条件を満たすことで各種手数料の優遇を受けることができる2. 他のメガバンクだと,振込手数料の優遇が PayPay 銀行への振り込みに限られていたり3,優遇を受けるための条件が厳しかったり4 する.

住信 SBI ネット銀行

貯蓄資金の移動には住信 SBI ネット銀行を利用している. これは,振込手数料の優遇が他社と比較して圧倒的に手厚いためである. 私は,次の 3 つの条件

  1. 外貨預金(普通・定期)の月末残高あり
  2. SBIハイブリッド預金の月末残高あり
  3. 給与、賞与または年金の月内ご入金あり

を満たすことでスマートプログラムのランクを 3 にし,振込手数料と ATM 利用手数料をそれぞれ月 10 回ずつ無料にしている5

住信 SBI ネット銀行は,私が主に利用している SBI 証券にシームレスに資金を移すことができる. そのため,投資用の資金は可能な限り住信 SBI ネット銀行で管理するようにしている.

あおぞら銀行

直近の支出に対する備えや生活防衛資金のプールにはあおぞら銀行を利用している. これは,BANK 支店の普通預金の金利が無条件で 0.2 % と高水準なためである6. また,ゆうちょ銀行の ATM を利用すればあおぞら銀行の口座から手数料無料で出金することができ,利便性も高い7

さらに BANK 支店では,アプリ内の The Savings という口座で目標別に貯金することができる8. 例えば,家具の買い替えのために○年後までに○○円貯めたい,結婚のために×年後までに××円貯めたい,といった複数の目標を設定し,目標達成に向けて毎月一定額ずつ積み立てることができる.

Union Bank

米ドルの保有と米国の証券口座への入金には Union Bank を利用している. Union Bank は三菱 UFJ フィナンシャルグループが米国で展開している銀行で,日本で口座を開設できる,日本語のカスタマーサービスがある,米国の預金保険制度の対象である,といった点で優れている.

Union Bank への (海外) 送金は Revolut というサービスを利用すると手数料を安く抑えることができる. Revolut の無料ユーザーは,ほとんどの場合,毎月 75 万円まで手数料なしで外貨に両替することができ,さらに手数料なしで海外の銀行口座に送金することができる9

給与の振込先

毎月の給与の手取りは,税金や社会保険料,確定給付企業年金の掛金,企業型 DC のマッチング拠出に加えて,社宅利用料を差し引いた \(X\) 万円程度である. 私の場合,毎月 \(S + p\) 万円を貯蓄として住信 SBI ネット銀行に振り込み,残った \(X - (S + p)\) 万円を生活費として三菱 UFJ 銀行に振り込むようにしている. なお,貯蓄額 \(S + p\) は,1 ヶ月の生活費が住居費を含まず 10 万円以内であること,定年までの間に達成したい資産総額が \(A\) 万円であることなどを考慮して決定している.

給与手取
給与手取
生活費
生活費
貯蓄
貯蓄
X 万円
X 万円
X − (S + p) 万円
X − (S + p) 万円
S + p  万円
S + p  万円
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ここで重要なのは,毎月の給与の手取り \(X\) を定数と仮定し,貯蓄額のうち \(S\) を無理のない範囲の適切な金額で固定することである. これにより,貯蓄を自動化することができ,自然と支出を抑えられるという効果が期待できる.

生活費

普段使っているクレジットカードや光熱費,通信費などの生活費は,すべて三菱 UFJ 銀行から支払うようにしている. 支払いを一元化することで,月々の生活費の管理を容易にすることができる.

なお,三菱 UFJ 銀行は金利がほぼ 0 に等しい (年利 0.001 %)10 ため,必要最低限のお金 (20–30 万円程度) のみを置くようにしている.

貯蓄

投資資金を含めた貯蓄資金は一度すべて住信 SBI ネット銀行に振り込まれ,目的別の銀行口座に自動的に振り込まれるようになっている.

  • 長期投資 (\(0.8 S\) 万円)
    • 住信 SBI ネット銀行
    • 楽天銀行
  • 短期投資 (\(0.2 S\) 万円)
    • 住信 SBI ネット銀行
    • Union Bank
  • 直近の出費に対する備え (\(p\) 万円)
    • あおぞら銀行
生活防衛資金
生活防衛資金
定額 100 万円
定額 100 万円
長期投資
長期投資
短期投資
短期投資
直近の出費に
対する備え
直近の出費に 対する備え
貯蓄
貯蓄
0.8S 万円
0.8S 万円
0.2S 万円
0.2S 万円
p 万円
p 万円
S + p 万円
S + p 万円
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長期投資

効率的に資産を形成していくために,長期投資は欠かせない. 自己投資ももちろん重要だが,人間はいつしか働けなくなるので,将来のために所得の一部を金融資産として戦略的に運用すべきである. 資産運用では,長期間 (20 年以上) 投資することで元本割れの可能性を小さくすることができ11,適切な資産配分を決めて運用することで運用効率を高めることができる12. そのため私は,長期間使わないお金を毎月 \(S\) 万円と決め,そのうちの \(0.8 S\) 万円は SBI 証券や楽天銀行,マネックス証券等を利用して積み立て投資で運用し,残りの \(0.2 S\) 万円は後述する短期投資で運用している.

ここで,毎月の投資額の \(S\) 万円は \(t\) 年後に達成したい資産総額 \(A\) を考慮して決定している. 仮に 30 年後の資産総額の目標を 2 億円とすると,実質リターン 5 %11 を仮定すれば毎月の積立額は 24 万円と計算できる. これを 4 % ルール13 で運用すると,毎年 800 万円を安全に取り崩すことができる. 資産運用の戦略については,別の記事で詳しく紹介する.

短期投資

短期投資は,長期投資のリスクヘッジのために重要である. 短期投資で個別株や ETF を購入するためにはある程度まとまった資金が必要になる. 資金が準備できるまでの間は毎月 \(0.2 S\) 万円ずつ住信 SBI ネット銀行で現金で保有し,必要な金額が貯まったあとは適切な証券会社に入金して短期投資に活用している.

直近の出費に対する備え

数年以内に使うことがわかっているお金を投資に回してしまうと,投資したタイミングによっては元本割れしてしまう11. したがって,直近の出費に対しては現金で備えておくことが望ましい.

私は,5 年以内に使う予定のあるお金 (e.g., PC やスマートフォン,家具家電の購入や,結婚,子育ての費用) をあおぞら銀行で毎月 \(p\) 万円ずつ積み立てて貯金している.

生活防衛資金

上記に加えて,あおぞら銀行には,病気や失業に備える生活防衛資金として常に 100 万円を準備している. 医療費が高額になった際は,加入している健康保険で負担を軽減することができる. 失業の際は,雇用保険の失業手当でおおよそ 50 % 以上の収入を 3 ヶ月程度確保することができる. 生活防衛資金は,これらでカバーできない出費をまかなうために準備しておくお金で,一般的なサラリーマンの場合は 3 ヶ月分の生活費が目安となる. 生活防衛資金が準備できていれば,万が一のときに生活防衛資金から出費を賄うことができるため,ほとんどの民間の保険への加入は不要になる. もちろん,扶養している家族がいる場合や住宅を購入した場合は,万が一のときに家計が破綻しないよう,民間の保険への加入を検討する必要がある.

まとめ

今回の設計では,直近の出費に対する備えとして \(p\) 万円,長期の資産運用として \(0.8 S\) 万円,短期の資産運用として \(0.2 S\) 万円を毎月貯蓄することができる. 給与から天引きして貯蓄する仕組みを作ることは支出を抑える面でも効果的である. また,お金の用途に合わせて銀行口座を適切に選択することで,手数料を支払うことなく利便性と運用効率を両立することができる.

  1. 水道料金のお支払いは口座振替がおトクです | 手続き・料金 | 東京都水道局. Link 

  2. 各種手数料優遇 | 三菱UFJ銀行. Link 

  3. 手数料優待 : 三井住友銀行. Link 

  4. みずほマイレージクラブ「うれしい特典」 | みずほ銀行. Link 

  5. スマプロランクについて | スマートプログラム | NEOBANK 住信SBIネット銀行. Link 

  6. 金利 | 普通預金/貯蓄預金/1年定期預金 年0.2% | あおぞら銀行 BANK. Link 

  7. 手数料一覧 | あおぞら銀行. Link 

  8. 貯蓄預金 BANK The Savings | 年0.2% 好金利 | 目的別口座 | あおぞら銀行 BANK. Link 

  9. Personal Fees (Standard) | Revolut JP. Link 

  10. 円預金金利 | 三菱UFJ銀行. Link 

  11. Jeremy J. Siegel. Stocks for the Long Run. 5th Edition, McGraw Hill, 2014.  2 3

  12. David G. Luenberger. Investment Science. 2nd Edition, Oxford University Press, 2013. 

  13. Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz. Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable. AII Journal, vol. 10, no. 3, pp 16–21, 1998.